「人生のやる気デザイン」研究部会
研究者 |
渡辺 弥生(法政大学教授)
榎本 淳子(東洋大学教授)
倉住 友恵(駒沢女子大学准教授)
杉本 希映(目白大学教授)
中井 大介(埼玉大学准教授)
中谷 素之(名古屋大学教授)
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本研究部会は、生まれてから死を迎えるまでの生涯発達をターゲットに、人生をよりよく生きるための駆動力として必要な「やる気」に焦点を当てる。昨年度は目的を具体的にしてデータを集め研究成果を共有してきた。今年度はこれまでの発表をベースに、さらに具体的、実践的に各自の研究テーマを掘り下げ、論文・紀要にまとめることを視野に活動する。
@榎本淳子:医療でのやる気 先天性心疾患を持つ患者の生涯発達
面接調査や研究レビューを通して、1. 患者が発達を通して経験する困難や葛藤の情態 2. それらの困難や葛藤を克服するプロセス 3. 克服を妨げる/促進する要因について、社会的文脈を含めて検討していく。最終的には患者が病気と共生し、より良く生きるあり方について考えていきたい。
A倉住友恵:大学生のやる気 未来展望とその規定因
時間的展望の中でも未来展望を取り上げ、未来展望がどのような要因や介入によって形成されるのか文献研究を進める。また、より望ましい未来展望を促進するための介入について開発し、その効果を検討すると同時に、未来を展望することによってやる気が変化するのかについても実証的に検討する。
B杉本希映:子どもたちのやる気 Gritの適応的なあり方
2023年は、これまでの文献研究での知見を活かし、Grit(やりぬく力)についての定性調査と定量調査を計画し実施することとする。定性調査としては,1つの目標を継続的にやり抜いた人を対象にインタビュー調査を行い、そのプロセスを明らかにする。定量調査としては、青年期から中年期を対象にGritの適応的なあり方を明らかにする。
C中井大介:恋愛のやる気 恋愛関係・夫婦関係における自己拡張欲求および自己包摂と関係の形成・維持の関連
自己拡張理論の観点から、青年期の恋愛関係、成人期の夫婦関係を自己拡張欲求と自己包摂の観点から捉え、これらが恋愛関係・夫婦関係の形成・維持や精神的健康とどのように関連するかを明らかにする。調査方法は,質問紙法と面接法を予定している。今年度は質問紙を作成し、青年期の大学生を対象に質問紙調査を実施する予定である。
D中谷素之:学校でのやる気 激変する教室環境と子どもの動機づけの促進
近年のグローバル化や教育DX、そして 2020年以降のパンデミックにより、学校や教育を取り巻く環境は激変した。すでに教室での学びは対面・非対面の両方を意味するものとなったが、一方でそれだけ他者との対面交流による学習の重要度は高まったと考えられる。激変する教室環境における教師と学級の役割に注目し、やる気を維持、向上できる授業や学級のデザインについて実証的に検討し提起する。
E渡辺弥生:学びと感情 ソーシャル・エモーショナル・ラーニング(SEL)をベースにした「授業」とは
やる気を喚起する前提として、考える、行動するといった視点からだけでなく、感情面からのアプローチに着目する。感情リテラシーの解明をもとに、学校教育の中でどのように指導していけば良いのか、具体的な実践のあり方を探る。これまでの指導案をSELの視点から分析し、心の教育に縛られずに、あらゆる教科や学校生活に導入できるアプローチについて考えてみたい。
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